リンパ組織は顎の下・脇の下・股の付け根・胸腔・腹腔など体の至る所に存在します。悪性リンパ腫やリンパ肉腫と呼ばれリンパ節・胸腺・消化器・皮膚などにあるリンパ組織から発生する悪性腫瘍です。本来生体には外部のウイルスや細菌などの「敵=異物」から体を守る重要な免疫の役割が白血球の一種(リンパ球)です。リンパ器官には、リンパ節(腺)などのリンパ器管と脾臓や肝臓、腸管などにふくまれるリンパ組織があります。カゼをひくと、リンパ節が腫れるのは、リンパ球が体内に侵入したカゼのウイルスと闘い抵抗しているからです。その重要なリンパ球の遺伝子が何らかの要因で傷つき、細胞が腫瘍化して、リンパ器官内で固まりをつくって分化・増殖する病気がリンパ腫あるいはリンパ肉腫という悪性腫瘍です。発生部位により様々な進行過程で腫瘍の転移や他のリンパ節及び多くの内臓や骨髄を侵す病気です。リンパ腫の発生率は全悪性腫瘍の8〜10%を占めると言われています。リンパ肉腫の症状は発生した場所等により異なった症状が現れ、遺伝や発癌物質の摂取(食事や生活環境)・免疫不全等の原因があげられています。
リンパ腫の種類
多中心型リンパ腫
局所あるいは全身のリンパ節に発生する型で、犬では最も多い一般的なタイプです。体のあらゆるリンパ節が腫れ、多くは顎の下のリンパ節が大きくなってから気付きます。食欲不振・元気消失・体重減少・発熱・貧血を起し、高カルシウム血症がある場合は多尿と多渇症がみられます。眼球異常も(ブドウ膜炎・眼出血)30%の犬にみられます。
皮膚型リンパ腫
皮膚および皮下組織へ腫瘍細胞が浸潤して起こります。変化に富んだ皮膚病変を形成する型です。この型は非常にまれですが、口腔粘膜に発生する事もあります。皮膚の湿疹・発疹で痒み等から始まり、潰瘍化し結節性の病変へと進行し最終的には近隣のリンパ節や内臓への転移を起し全身へと進みます。しかし、肉眼では皮膚病との区別がつかないようです。
※他省略
リンパ腫のステージ
ステージI
1ヶ所のリンパ節・リンパ器官に限局(骨髄を除く。骨髄のみでリンパ球が
増殖するのは白血病に分類される)に限られる場合はステージTと分類。
ステージII
数ヶ所のリンパ節の腫脹。扁桃腺が侵されている場合も、いない場合もある。
ステージIII
全身のリンパ節の腫脹
ステージIV
肝臓・脾臓にリンパ腫が波及。
全身のリンパ節に病変を伴う場合も、伴わない場合もある。
ステージV
血液、骨髄、その他の臓器に発現。末梢血管や骨髄に腫瘍細胞が出現、リンパ腫がリンパ器官以外の臓器に波及
<リンパ腫のサブステージ>
各ステージは更に臨床的サブステージa(臨床症状なし)またはb(臨床症状あり)に分けられる。
臨床症状とは、元気消失、食欲不振、嘔吐、下痢などの目に見える様々な症状のこと
サブステージa
臨床兆候なし(元気・食欲があり、下痢・嘔吐の症状がない)
サブステージb
臨床兆候あり
一般的にステージI〜IIIの状態である場合、いつもの調子と変わらず、元気や食欲がある場合が多いです。
ステージが進行するほど、予後が悪くなり、またサブステージaからサブステージbに移行すると予後が
悪くなる事が多い様です。
免疫が強ければガンにはなりにくく、ガン細胞を排除しようとする細胞の働きが強まります。脂肪腫や腺腫は良性腫瘍に属し、悪性腫瘍は発症部位によって分類します。ガン腫は犬の臓器の表面に並ぶ組織から発症したもの、肉腫は筋肉や血管・骨等の組織に形成されたもの、リンパ腫はリンパ系組織で形成されたものです。
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